古くからの友人N川の絵画展を、南足柄まで観に行く。
彼は、そううつ病を患ってしまいずっと苦しい生活を送ってきたが、
今日展示されていた数々の明るくポップな絵画は、白を基調としたスマートな形状と色彩で構成されており、ていねいな筆遣いだけど踊るようなリズムで描かれた抽象絵画は、これは「新しいN川」の始動を見たような気がした。
N川は、いつのまにか自分だけの新しいオリジナルフォームとスタイルを生み出していたのだ。
N川の表情も、余裕というか、なんというか思考と観念の果ての果てへ行きついて、悟りの境地に達してしまったような、そんな宗教的な顔をしているようにも見えた。
去年の年末から今年の年始にかけて、ぼくはなんどかN川へのお見舞いも兼ねて彼の家へよく遊びに行ったが、その都度彼が描いている絵を見せてもらっていた。
それは、今日展示されていたようなポップでスマートなスタイルの絵ではなくて、もっとカオティック(混沌)な、激しい感情をそのままカンバスにぶつけたような、そんな絵画だった。
しかも「一日100枚描く」とかいう変な目標で生産を続けていて、彼は「アートはスポーツ」とまで言いのけていた。
いろいろ試行錯誤し、あらゆるスタイルを試みたり、足したり引いたりの作業を繰返しながら、現在のスマートでポップなスタイルへ行きついたのかもしれない。
しかも、半年もない短い制作期間で!
ぼくはN川という天才が身近にいることをとても誇りに思う。
そしてそんな彼が、こんな凡庸でつまらないぼくへ気軽に電話してきてくれたり遊びにきたりしてくれて、本当にうれしいと思う。
(びんかん)