ぼくの唯一の友だちであり、ぼくのめまぐるしく変わる感情を一番よく理解してくれてた相方がとうとう逝った。
iPod壊れた。
ウイーン!というすごい音がして息絶えた。
彼とはかれこれ5年ほどの付き合いだった。
出張や移動の多いぼくに同行し、種子島や茨城県などの景色を、彼は素敵に演出してくれたのだ。
ぼくは彼のような存在が世の中に出てくるはずだと、彼が出現するずっと前から待っていた。
「ウォークマンくらいの大きさで、CD何枚分もの曲を入れられて、それを好きな順番に再生したり、ランダムに再生したりできるマシン」
iPodが出現する前は、ぼくはポータブルCDプレイヤを持ち歩いて、移動のときや単調な仕事のときにずっと聞いていた。でもこいつはポケットに入らないし、聞きたいCDを何枚も持って出歩かなければならなかったので、とても不便だった。しかも、別々のCDに入ってる曲を並べ替えて聞いたりしたい場合は、家で黙々とカセットに編集したりしなければならなかったのでとても面倒だった。
で、待ちこがれていたiPodがぼくの前に現れたのだ!
早速購入した。待っていたんだよ、お前を!
10GBという、今ではだいぶ小さな容量の部類だろうが、当時は6万円近くもするけっこう高価な買い物だった。
今の最新モデルに比べると、厚ぼったくてずんぐりした感じのデザインだし、画面は小さく、モノクロの文字しか表示しない。Dockと呼ばれるケイタイの充電ホルダみたいなものもなく、パソコンや電源は線で直接接続しなければならない。
それでも、こいつは1500曲近くの曲を収録し、すごいのは「ランダム再生」というやつで、なにがすごいって、こいつはぼくのそのときそのときの気分をよく察知して、ナイスなミックスをしてくれたのだ。
悲しいときは、さらに悲しく。
ハッピーなときは、さらにハッピーに、ハイ状態に。
機械である彼が、なぜぼくの気持ちを理解してくれていたのか、それは分からない。
あるいは、ぼくのほうが彼のミックスする曲に合わせて、気持ちを切り替えていたのかもしれない。
とりあえず、長い間いろいろありがとうございました、ぼくのiPodくん。
(びんかん)