どこかへ旅行へ連れて行ってもらう場合、とくに海外の場合、
「俺は本当に日本を出たのだろうか、ここにいるみんなにだまされて、どこか精巧に作られたスタジオに連れてこられたのではないだろうか?」という妄想に苦しむ。
みんなもそうだろ?
この電車だって、ほんとうに韓国で走ってるのだろうか?

確かに俺は、羽田空港から飛行機に乗った。窓から見える外の景色も地上から雲の上へと変わっていった。だが、果たしてほんとうに俺は、飛行機に乗ったのだろうか?
精巧に作られた遊園地にあるようなバーチャル体験装置のようなものに乗せられているのか、あるいはそういった記憶を植え付けられる意識操作の手術を知らないうちに受けたのだろうか?
ホテルで見たテレビも、どうも日本のそれだとしか思えない。
いや、これは確かにのび太にスネ夫、ジャイアン、しずかちゃんだ。

とうとうボロが出たな! テレビ番組までは操作できなかったのか。バカな奴らめ、だまされたふりをしてやるよ。
しかしこれはなんだ? 給水塔的な雰囲気を感じるが、違う。
しかも存在の意味がよく分からない。丸と四角が通りの対岸に位置している。


これは給水塔だろうか? いや、これは清掃工場の煙突なのだそうだ。


「果たして俺はこの世界で存在しているのだろうか? 自分はだれか他の人の夢の中に出てくる登場人物で、その人が夢から目を覚ましたら俺はフッと消えてしまうのだろうか?」
韓国は日本と雰囲気がそっくりだ。同じ資本主義の国、アメリカの影響を強く受けている国。双子同士なのだ。
ああ、ぼくは韓国にまで行って、なにを撮っているんだろうか。
きっと宇宙の果ての見知らぬ星に降り立っても、給水塔的なものを探してしまうだろう。
(びんかん)